令和元年度決算特別委員会総括質問(全文)


令和元年度決算特別委員会総括質問

1.避難所整備・運営について

①避難所における感染症対策資機材の整備について

②災害対応における照明の役割について

2.がん治療に伴う外見(アピアランス)のケアについて

 

はじめに避難所整備・運営について二点伺います。

一点目は、避難所における感染症対策資機材の整備です。

コロナ禍の万が一の発災時において、三密を避け避難生活を安心して安全に過ごせる対策は必須と考えます。避難所の居場所を常に清潔に保つため消毒を繰り返すこと、また、備蓄品を少しでもコンパクトにすること・簡便に使用できること・備蓄品が丈夫であることなどの要素を入れていくことが重要です。

現在、台東区では事業者と協定を結んでいただき、発災時用の簡易間仕切りや畳などをいざという時のために備えておりますが、加えて、すぐ使えてコンパクトであり、機能性に優れ、コストパフォーマンスが良いものを備蓄しておくことが重要であると考えます。

そういった意味では、現在各避難所にあるプライバシー保護の災害用テントの数では十分とは言えません。各避難所に10機以上は必要ではないでしょうか。

各自治体に目を向けてみますと、最近、野外で使用できるように作られた防水・保温に優れた災害用プライバシー保護テントと、空気を注入して使うポータブルインフレータブル型のベッドが普及してきました。丈夫で長持ちし費用対効果の観点からもとても有効であると考えます。茨城県では、各市の避難所に多く備蓄配備していると伺っています。

そこで、避難所での感染症予防とプライバシー保護が可能であること、また設営が簡単ですぐに使えて衛生的にも大変有効であるという観点から、災害用プライバシー保護テントとポータブルインフレータブル型のベッドの備蓄が必要であると考えます。

区長のご所見をお伺いいたします。

 

二点目は、災害対応における照明の役割です。

防災対策を考える際の視点の一つとして、様々な時間帯に発災することを事前に想定し、それぞれに対応策を検討・準備しておくことがあり、これは大変重要であります。特に、夜間発災を想定した情報の受発信、避難誘導、避難困難者の支援、救出活動資機材の調達とその備蓄、そして、普段から夜間防災訓練を実施しておくことが必要であると考えます。

夜間開催となると訓練に参加していただく方々の負担が課題ですが、訓練を重ねることは、いざという時現場の皆様を助ける力になってまいります。

熊本地震の知見として、「平成28年熊本地震の被害を踏まえた学校施設に関する検討会 報告『避難所となった学校における施設面の課題等について」という報告書によると、“備えられていなかったために困った機能”の項目で、夜間は館内が真っ暗になるために調光機能を備えた照明や館内出入口の照明が必要という回答がありました。また、車中泊が多かったためナイター照明が安心感を得られる等の理由からも役立つとの回答もありました。

避難所で照明が果たす役割は大変大きく、時間帯によって明るさ調整できることで安心感を与え、調色機能で就寝時に快適な眠りを与え、部分的に点灯消灯できることで安全を担保できることが重要であると考えます。

そもそも避難所の電源確保は喫緊の課題であり、将来的には設備としての整備や電源として電気自動車の活用も検討すべきと考えます。

また、発災時には障害のある方や日本語が通じない方とのコミュニケーションをとるためのツールが必要であります。

今般、消防庁においては「外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン」を策定・公表しています。ガイドラインでは、デジタルサイネージやスマートフォンアプリ等の活用などによる避難誘導等の多言語化、文字等による視覚化、障害など施設利用者の様々な特性に応じた対応などの取り組みについて示しています。そして、各施設において取り組むことが望ましいものとして、一つには、情報発信機器の多言語化、文字等の視覚化。二つには、施設利用者の様々な特性に応じた避難誘導。三つには、配慮を必要とする方への避難誘導に関する施設従事者などへの教育訓練の実施が挙げられております。

このガイドラインでは、駅、空港、競技場、旅館およびホテルなどを利用する障害者や外国人に視点を当てたものですが、各避難所における避難者の対応においても同じことが言えます。

発災が昼間で、灯りがある中とは限りません。また、電灯電源が途絶えた体育館や建物の中では外からの光も入らず、昼間でも真っ暗な場合も考えられます。

一例として、京都市の避難所での夜間防災訓練では、アンブルボードという発光型掲示ボードを使用した訓練が行われております。アンブルボードは、夜間等困難な被災環境にあっても大いに役立つ情報伝達ツールで、雨の中でも濡れない仕様の発光ボードであります。このような情報伝達・避難誘導ツールは、実際に災害に遭った被災地の方々のアイディアが活かされており、より高い実用性が期待できます。

このようなツールは、避難所内でのスケジュールなどの情報伝達や避難誘導のサイン、トイレや福祉避難所の光る立て看板として目印になります。また、外国の方との会話のツールとしても、様々な場所で誰にでも使えて、持ち運びが便利で、人的な配置の節約にもなります。

  • そこで、避難所における調光や制御などを備えた照明とそれを活用するための非常用電源整備が重要と考えますが、区長のご所見をお伺いいたします。
  • また、本区においても夜間・又夜間停電時に大いに役立つ情報伝達・誘導の防災ツールとして、発光型掲示ボード(アンブルボード)を避難所へ配備すべきと考えますが、いかがでしょうか。
  • さらに、避難所単位で発光型掲示ボードなどのツールを使用しての夜間参集訓練や避難所開設訓練を日ごろから実施することは大変に重要だと考えます。区長のご所見を伺います。

 

次に、がん治療に伴う外見(アピアランス)のケアについて伺います。

令和元年、台東区でのがん検診においてその後の追いかけによる結果、罹患者は80名となっています。しかし、これは区内の検診の結果なので、区外の医療機関で検診を受け罹患されたと分かった方々も多数いらっしゃることを鑑みると、区としての取り組みは重要であると考えます。治療方法も抗がん剤の種類も多数ある中で、罹患した方々の不安とお悩みも多岐にわたりますが、悩みながらも社会活動に参加する、或いは、治療をしながら仕事を続ける方が増えています。先日も、保健福祉委員会で医療用ウイックなどへの支援の陳情がありました。

がん治療には、脱毛や、乳がんの場合乳房を切除するなど外見(アピアランス)に著しく変化を伴うことがあります。このような外見の変化は、当事者の治療に対する意欲の低下や就労への障害につながります。特に、昨今は治療法も進み、治療をしながら仕事を続ける人も多く、り患した方の生活の質、いわゆるQOLを上げていくための外見の支援が必要だと考えます。ウィッグ、いわゆる医療用かつらや、胸の補正下着などのケアは、患者とその家族を守る手立てとしてもとても大切な支援です。

医療用かつらに付随して、ヘアドネーションという活動があります。ウィッグは健康保険の対象外であるため、実費で購入しなければなりません。これは大きな負担となってしまいます。こうした中、NPO法人や企業などが社会貢献として生み出したのがヘアドネーションです。国内外から寄付された人毛を材料にウィッグを作り、がん治療などで脱毛した子供に無償提供する活動が行われています。

今では、がんは2人に1人がなるといわれています。中でも乳がんに関しては、日本では女性がかかる病気のトップであり、増加の一途をたどっています。最新の統計によりますと、9人に1人が乳がんに罹患していると言われております。

港区をはじめ、多くの自治体で外見のケアに必要な購入費用助成制度が始まり、関係者から喜ばれているとのことです。

昨今、履歴書の顔写真の有無に関する議論が巻き起こっていますが、まだまだ外見重視、外見というものがその人を判断する材料になっていることは事実で、がんを患いながら社会活動に参加し、就業していこうとする方々にとっては大変重要な事柄として大きく関わってまいります。

しかしながら、ウィッグや補整下着など、アピアランスケアに関しての知識は周知されておらず、り患した後に苦労される方が多いのが現状です。

そこで、本区においても、がん治療に伴う外見のケアのなかでもウィッグや乳房補正具の購入費助成制度の導入を積極的に検討されてはいかがでしょうか。

また、がん治療に伴う不安を少しでも軽くしていく手立てとしてアピアランスケアに関する正しい情報を広く周知し勧めてはいかがでしょうか。

区長のご所見をお伺いいたします。